この記事では、冬山で凍傷が起きやすい条件と予防の7つのポイント、凍傷が疑われたときの対応を解説します。
登山の凍傷を防ぐポイント7つ
凍傷は強い寒冷によって組織が障害された状態で、指・足趾・耳・鼻に起きやすい症状です。手袋や靴下の重ね方と予備、足先に余裕のある靴、濡れた装備の交換、露出部の保護を整え、指先を動かして水分を取ります。悪天候では行動を中止してください。凍傷の特徴と起きやすい部位を知り、冬山の予防策を準備に取り入れましょう。
1. 手袋はインナーとアウターを用意し、予備も持つ
手袋はインナーとアウターを重ねて使えるように準備します。行動中に濡れたり、交換が必要になったりすることを考え、手袋の予備を持ちましょう。靴下や下着も予備を用意すると、濡れたときに交換できます。
2. 登山靴と靴下は足先に余裕のあるサイズを選ぶ
登山靴と靴下は、足先が窮屈にならないものを選びます。足先に余裕がない装備では、冷えを避けるための靴下の重ね方も難しくなります。冬山に使う靴下を履いた状態で、足先の余裕を確かめてから出発しましょう。
3. 手袋や靴下の濡れに注意し、早めに交換する
手袋や靴下が濡れていないか、行動中に確かめます。濡れた手袋は早めに交換し、靴下も濡れたままにしないようにします。予備はすぐ取り出せる場所に入れておくと、交換が必要なときに対応しやすくなります。
4. 耳や首を覆い、風や雪を直接当てない
帽子や目出し帽、ネックゲーターを使い、耳や首の露出を抑えます。風や雪が顔の周辺に直接当たる状況では、目出し帽やフードで覆ってください。防寒具を持つだけでなく、風雪が強まったときにすぐ使える状態にしておきます。
5. 行動中に手足の指先を時々動かす
歩いている間も、手足の指先を時々動かします。手袋の中で指を動かし、足の指も靴の中で動かせるか確かめましょう。指先の動かしにくさが気になったら、装備の濡れや足先の余裕も確認します。
6. 冬でも水分を十分に取る
寒い時期も水分を取ります。冬山では喉の渇きを感じにくいことがありますが、水分補給を後回しにせず、行動中に飲む機会を作りましょう。
7. 悪天候では行動を中止する
悪天候のなかで行動を続けず、中止を判断します。防寒装備をそろえても、凍傷の危険をなくせるわけではありません。天候が悪化した場合に行動を止める判断も、冬山の予防策です。冬山での疾病リスクへの予防策も、出発前の装備確認に役立ちます。
| 確認する場面 | 準備・行動 |
|---|---|
| 出発前 | 手袋と予備、靴下と下着の予備を用意する |
| 装備選び | 足先に余裕のある登山靴と靴下を選ぶ |
| 行動中 | 濡れた手袋を交換し、手足の指先を動かして水分を取る |
| 風雪が強いとき | 耳や首を覆い、悪天候では行動を中止する |
凍傷としもやけはどう違う?
凍傷は強い寒冷による組織障害です。一方、凍瘡(しもやけ)は組織障害を伴わない炎症で、凍傷とは異なります。寒さによる症状をひとまとめにせず、凍傷が疑われる場合は受診につなげてください。
違いは組織障害の有無
凍傷は皮膚が強い寒冷にさらされ、組織が障害された状態です。凍瘡は組織障害を伴わない炎症です。見た目や本人の感覚だけで区別しようとせず、凍傷が疑われたら自己判断で処置を続けないことが大切です。凍傷と凍瘡の違いを踏まえ、受診を優先しましょう。
| 状態 | 特徴 |
|---|---|
| 凍傷 | 強い寒冷による組織障害 |
| 凍瘡(しもやけ) | 組織障害を伴わない炎症 |
凍傷はどこに起きやすく、受傷直後に重症度を判断できる?
凍傷は指、足趾、耳、鼻に起きやすい一方、受傷直後に損傷の深さを判断するのは難しい状態です。見た目や症状だけで重症度を決めず、凍傷が疑われたら医療機関を受診してください。
指先や耳、鼻を確認する
手足の指先、耳、鼻は、冬山で寒冷にさらされやすい部位です。行動中に防寒具のずれや濡れがないか確認し、露出したままにしないようにします。これらの部位に異変を感じても、症状だけから損傷の範囲を判定することはできません。
受傷時に深さを自己判定しない
凍傷の損傷がどの深さまで及んでいるかは、受傷時には判断しにくく、判断に日数を要することがあります。「軽そうだから大丈夫」と決めつけず、疑いがあれば医療機関で診てもらいましょう。
| 状況 | 次にすること |
|---|---|
| 指・足趾・耳・鼻に凍傷が疑われる | 患部をこすらず、保温して受診する |
| 受傷直後の見た目で軽く感じる | 深さを自己判定せず、医療機関に相談する |
凍傷が疑われたら山中でどうする?
毛布で保温し、速やかに医療機関を受診してください。患部をこすったり、ドライヤーの乾熱で温めたりしてはいけません。凍傷を負った人には低体温症が伴う可能性もあります。山中では自己判断で温水による急速融解を始めず、保温と受診を優先します。
患部をこすらない
凍傷が疑われる部位はこすらず、毛布で体を保温してください。手や雪でこすることやマッサージは、組織をさらに損傷するおそれがあります。
ドライヤーなどの乾熱を当てない
患部はドライヤーの乾熱で温めず、保温して医療機関を受診してください。乾熱は温度を細かく調整しにくく、患部を傷めるおそれがあります。山中では、自己判断で温水による急速融解を行わないでください。
保温して、できるだけ速やかに受診する
毛布で保温し、できるだけ速やかに医療機関を受診してください。凍傷を負った人は低体温症になっている可能性もあります。登山を続けて様子を見るのではなく、同行者に状況を伝え、受診の手配を優先します。凍傷が疑われるときの注意点に沿って、患部をこすらず、乾熱で温めず、保温して受診する対応を取ります。
装備と天候を確認して冬山へ出発しよう
冬山の凍傷対策は、手袋と予備を用意し、足先に余裕のある靴を選ぶことから始めます。行動中は濡れた装備を早めに交換し、耳や首を覆い、指先を動かして水分を取ってください。悪天候では行動を中止します。
凍傷が疑われたときは、毛布で保温し、速やかに医療機関を受診してください。患部をこすったり乾熱で温めたりせず、損傷の深さは自己判断しないでください。
